タイ旅行で郷に入っては郷に従って、快適に過ごす方法
タイ旅行に行くと、ついついトムヤムクンやグリーンカレーなどを食べても、日本より安いということですっかり安心して、ガイドブックにあるお店に行って豪遊してしまいがちです。
しかし、一回一回の料理は確かに日本のタイ料理屋よりは安いのですが、結局ガイドブックにのっているような、日本語メニューがあるようなお店だと、周りのお客もチップを払っているし、払わなくてもサービスチャージが10%加算されていることも多いのです。
気が付いたら意外と出費がかさんでいることもしばしばあります。
物価の安い国に遊びに来たはずなのに、と首をかしげているうちはよいのですが、現地の人にサービスチャージ分について、巧妙に言いくるめられてしまうことすらあります。
しかも、相手は悪びれている様子でもないのです。
それは、すなわち「タンブン」という現地の文化を理解すると、タイ人の発想が見えてきて、トラブルを回避することや、タイで不用意に散在することも防げます。
「タンブン」を予習し、タイでの考え方を知ることで、タイでの滞在を快適に過ごすためのヒントが見えてきます。
Contents
物価が安いはずなのに、お金が減るペースが速い
念願のタイ旅行。
物価の安い国がいいと、バンコクに着いて大好きなトムヤムクンを、おいしいとチェックしていた評判の店に食べに行きました。
日本でいえば銀座のような、サイアムスクエア近くの交通至便なエリアだけに、すぐ見つかりましたが、お客は日本人と中国人が多いみたいです。
サイアムスクエア近くのトムヤンクン店
メニューには一つ一つ料理の写真が載っているので、おいしそうなトムヤムクンに、プラガポンヌンマナオと呼ばれる、フエダイまるごとをたっぷりの野菜やライムで蒸した迫力満点の料理を注文しました。
魚のエキスにチリの味がいいスパイスをきかせていて、最高です。
それぞれ600円、1100円と日本に比べたらかなりお得プライスです。
ご飯は別料金で、10%サービスチャージにVATを7%、チップも少し払ったけど、日本のタイ料理屋さんよりはるかに安いです。
マリオットホテルの展望フロア
次はマリオットホテルの展望フロアから、バンコクの夕焼けをながめます。
こちらも外国人がほとんどで、1000円ほどのカクテルと1000円のチーズで夜景が独り占めできるなんて、満足です。
写真も撮ってくれたし、愛想が良かったので、ウェイターさんにチップも少し置いてきました。
こんな感じで、日々過ごしていると、予想以上のペースで財布の中からお金が減っていました。
一回一回は日本より安くても外税にチップがかかる
なぜ財布の中から、予想より早いペースでお金がなくなってしまうのか、自分なりに考えました。
確かにガイドブックによく出てくるようなお店でのトムヤンクンにしても、高級ホテルのカクテルにしても、日本より安いのです。
それでも、そこに来ている層はやはり「タイの庶民」ではありません。
外国人旅行者、もしくはタイに住む、アッパーミドル以上のひとたちです。
彼らは余裕があるから、こういう場にいるのです。
だから、周りの客に合わせてチップを払ったりすると、タイの物価の安さは享受できません。
また、レストランやホテルの側も、お客は「タイの庶民」ではない人たちなのだから、サービス料の割り増しは払えるもの、と思っています。
だからこそ、サービスチャージもついてくるのです。
最近は、10%のサービスチャージと7%のVATを当然のように請求してくる店も増えたといいます。
「チップは含まれていません」とその上、請求書に書いてあると、さらにチップまで要求するのか、とかなり不愉快になる時もありました。
日本のガイドブックから離れて屋台を利用
サービスチャージやVATあわせて17%も、本来の料理の料金に上乗せで払いたくないという人のために、解決策があります。
タイの屋台を積極的に利用するのです。
日本のガイドブックに載っているのは、ヴィジュアルに美しく、まさにインスタ映えするようなお店がほとんどです。
でも、日本からわざわざ物価の安いタイに来て、タイにいるからこそ味わえる味覚を体験するほうが、旅の醍醐味を楽しめること間違いなしです。
屋台はおなかを壊しそう、という声があります。
しかし、生ものを避け、火をしっかり通したメニューがたくさんあり、タイの庶民はそれを食べて普通に暮らしているのですから、通常は問題がないはずです。
たとえば、タイ最大の銀行、バンコク銀行本店から徒歩5分くらいのところに屋台街があり、超エリートな銀行員も、普通に屋台で麺やタイ風焼きめしをかきこんでいます。
わたしもそこで食べましたが、清潔さも保たれていましたし、蒸しチキンに目玉焼きが乗ったボリュームのある焼き飯が、たったの150円です。
さらに、ここではチップが不要なこともメリットです。
飲み物だって、自分で持ち込んだペットボトルの水などを飲んでいても、誰も気にしません。
人気のある屋台街では、競争も激化していますので、サービスもよいし、味も洗練されています。
タイにおける「タンブン」の精神を知る
屋台の利用も一つの解決策ですが、もう一つこの問題を理解するうえで知っておくべき概念があります。
あるタイのレストランで、外国人旅行者と店長が「このサービスチャージというのは法律で規定されているものではないのだから、払う義務はない」と口論になったのを目撃したことがあります。
そこで、店長は「この国にはタンブンという文化があります。あなたたちは豊かな人。あなたたちの文化におけるnoblesse obligeと概念的には似ているかもしれませんから、理解できるのでは」と英語で説明していました。
つまり、豊かな人はそうでない人に施すべきなのだ、と言いたいのでしょう。
そして、タンブンという言葉。
仏教における功徳を積むという意味で、その施しは、結果的に来世で自分に返ってきますよということなのです。
だから、積極的に他者に親切にしたり、施しをしたりする人がタイには多いのです。
確かに、タイで友達が出来ると、日本帰国の折にわざわざ予定をキャンセルして空港まで送ってくれたり、家族一人一人が贈り物をくれたりします。
なぜそこまでと思うのですが、この「タンブン」の精神から来るもののようです。
旅人としてタイ人のやさしさに触れると、理由がわからず不安になることもありますが、タンブンの考え方に負うものです。
現地の文化へのリスペクトを忘れないことで快適な旅を
自分が「物価の安いタイでの旅行」を求めているのか、「日本とあまり変わらない料金だけれど、日本にいるときよりも豪遊できるならそれがいい」と思っているのか、タイの旅に求めることを、事前に決めておく必要があります。
ただやみくもにやりたいことをやってしまえば、前に書いたように、日本以上の外税の多さに、意外と出費がかさんでしまいます。
すると、楽しみにしていたはずのタイ旅行が、後で苦い思い出になってしまいかねません。
一方、屋台を利用するなどタイの人の生活ぶりに合わせて、現地に口を持って行ったからこそ味わえる醍醐味を体験する旅は、気兼ねもなく、しかもまさに安上がりです。
言葉が通じないから、ガイドブックにないような店は不安というのも、「タンブン」の精神を理解していれば、タイ人のやさしさを信じることが出来るでしょう。
その証拠に、街中にある祠に通勤の前に、お花を供えている人のなんと多い事か、目を向けてみてください。
もちろん初対面の人への警戒は必要ですが、「タンブン」について知っておくだけでも、タイの人たちのふるまいの理由がわかり、自分も落ち着いて対応の仕方を選ぶことが出来ます。
相手の常識の根拠を知ることで、海外での旅行の快適度はずいぶん向上することが今回の旅の教訓です。